雨と晴れと舞台

踊り、演劇、お笑い、いろいろな舞台に関して綴ります。

杜若 お能

 杜若を初めて観ることができた。いつも5月6月の初夏のシーズンをのがしていた。ストーリーは大まかには知っていたが、、もう少し学んでから観れば良かったかと思う。

  素朴な感想は、、若々しく華やかな装束に身を包んだシテの踊りが、初夏の明けゆく朝に朝露の残る植物の緑、を連想させた。それは時間がたってからも脳裏に浮かぶイメージである。

  「先生ギャルみたいで可愛いかったですね!」

これは先生の演能をみたお弟子さんの感想である。お面や装束が少し若めで襟合わせもベージュ系で可愛らしいかんじ?そんな見方もあるのか、、軽いな、、いやいや正しい見方だろう。

  主人公は在原業平が和歌で詠んだ杜若の花の精である。しかし一方、業平であり、二条后高子であり、高子に代表される業平の恋人たちでもある。しかもそれは歌舞の菩薩でもあるという。

   シテの身体ひとつでそれを表している。ギャルに見せかけて、多様な面をもつ。

  業平の恋人たちは業平により救済される。恋人たちは杜若の精でもあるので杜若の精も救済され成仏ができたという。

  草木国土悉皆成仏、草木も成仏できる、杜若の精も成仏できるという思想が背景にはある。シテは天台本覚論の身体化でもあるという。