滝沢歌舞伎2017
滝沢歌舞伎2017を新橋演舞場で観た。なかなかチケットはとれないそうだが、友人が激しい競争率を勝ち抜きチケットをとってくれた。友人はこれを観て1年の糧にすると言う、一体どんな世界が繰り広げられているのだろう?
劇場はいってすぐそこは滝沢ワールドでお弁当も滝こみ弁当など心憎いネーミング、食べてみれば良かった。タッキー一色、日常を忘れて楽しめる趣向がこらしてある。
一部は歌と踊りのエンターテイメントショー。いきなり宙吊りになったタッキーが舞台前方から飛んでくる(ように見える)。
前半はバレエダンサーの女性とタッキーの美しい踊り、三宅健の手話ダンス、立廻り、映画こどもつかいの映像、大和太鼓上の三宅のタップダンス、ジャニーズJr.の腹筋和太鼓、タッキー&三宅の和太鼓等。なかでもこのタッキー&三宅が上下、縦に括り付けられ、上へ下へと垂直にぐるぐる回転しながらの和太鼓演奏は圧巻であった。
場面かわり、白波4人男に扮したジャニーズJr.が口上を述べあげ、後半の歌舞伎ショーがはじまる。石川五右衛門、娘道成寺をとりこんで滝沢歌舞伎の演出をほどこしている。道成寺ではタッキーと三宅健は白拍子に扮し女形の踊りを踊る。タッキーは女形になっても顔立ちの美しさが映え、洋風な華やかな女形。三宅健は可憐な甘さのある女形で、もう一度見たいくらい可愛らしい。日本舞踊もなんなくこなす。そして道成寺なので大蛇と大鐘が登場。蛇とジャニーズJr.が舞台狭しと大立廻りをはじめ、タッキー&三宅はいつのまにか大鐘の上にはんなりと乗って下界を見物といった風態。
お能や歌舞伎の道成寺とはもちろん見せ方は違うが、現代版としてわかりやすく道成寺のインパクトを強める表現としてなるほど、と思った。
滝沢歌舞伎は和の魅力を絵巻物のように見せるエンターテイメントと聞くが、見て納得であった。ストーリーがどうの、ではなく、お客様に非日常世界で楽しんでもらいたい、という精神にあふれている。いいとこどりであろうがなんであろうが良いものは自由自在にとりこみ、滝沢歌舞伎の様式に消化されている、ように思えた。このとりこみこそ芸能の基本だろう。
第二部は鼠小僧夢小判ー笑いあり、涙なしー。タッキー扮する鼠小僧とそれを追う三宅健扮する岡っ引き仙吉は幼い頃生き別れた兄弟だ。お互いがお互いの心情を実はわかっていながら探り合い見得をきる見せ場の科白劇。 仙吉に問われ鼠小僧がこう言う。
「すぐに叶っちまう夢なんざ、追いかけてもつまらねえじゃねぇか」
これを言ってきまるのはタッキーならでは。夢という言葉が似合う。そうだ夢は夢だ!夢が簡単に叶ったらつまらないぞ!という気にさせてくれる。
自然体、普通っぽいなど身近なアイドルが流行る一方でタッキーはオーラのある王道を行くアイドルだ。