雨と晴れと舞台

踊り、演劇、お笑い、いろいろな舞台に関して綴ります。

ドラマ 奇皇后

 BSプレミアムで放送されていた韓国ドラマ「奇皇后」が終わった。全51回の長編ロマンス史劇である。

 元の宮廷を舞台に、高麗に生まれ逆境から元の皇后にまで上り詰めたヤン(ハ・ジウォン)の愛と闘いを描いた物語である。二つの愛、と副題にあるように元の皇帝タファン(チ・チャンウク)、高麗の王ワン・ユ(チュ・ジンモ)、とヤンとの運命的な愛も描かれている。

 元への貢女だったヤンはワン・ユに助けられ、逃亡する。逃げ延びて少年を装いスンニャンと名乗り、弓の名手となり、高麗王となったワン・ユと再会する。一方その頃元の皇太子タファンは流罪となり高麗へ送られる。スンニャンがその警護を務めるこことになる。

 話の始まりはだいたいこのようなことであるが、その後は陰謀渦巻く元の宮廷が舞台、波乱万丈の展開のなかでヤンが上り詰めていく。一難去ってまた一難、ハラハラどきどきのドラマチックドラマである。

 ここで私が注目するのはハ・ジウォンのもてぶりである。なぜこうもイケメンにもてるのか?

 最大のモテはワン・ユとタファンの二人の王に愛されていることだが、もうひとつ隠されたモテはタルタル武将(チン・イハン)からも愛されていたのではないかと思うところだ。

 ただの美人なだけのキャラクターであったらこうはいかないのではないか。美人ということであれば、皇后のバヤンフト(イム・ジュウン)やチュルクの長ヨンビス(ユ・イニョン)のほうが美人だろう。ハ・ジウォンはこの二人にくらべると顔立ちもどちらかといえば普通で骨太で健康的に見える。しかし、この普通というところが重要なのではないか。際立った美しさや儚さ、ファッショナブルさなどはもてるということの最優先事項ではないような気がする。普通といっても、そんじょそこらにハ・ジウォンのような人はいない。

 もうひとつ重要なことは、ハ・ジウォンの闘う女なところだ。この生命力に皆惹かれるのではないか。ワン・ユとタファンはヤンが男装をして一緒に戦う、あるいは守られる、間柄であった。そこから生まれた男同士の強い友愛が基にあるため絆が強いのではないかと邪推する。一方のタルタルは男勝りであり、強い意志をもって成りあがっていくヤンが素直に進言をうける相手である。タルタルも危険を承知でヤンのための行動をとる。表に愛の言葉などではっきりとでているわけではないが、3つ目の愛ではなかっただろうか。